アルバム制作まめ知識

苗字の漢字は組み合わせがいっぱい!印刷前に気をつけたいポイント

突然ですが、日本の漢字には「正字・新字・旧字・俗字・異体字・外字」など色々な字体があるのをご存知でしょうか?
ちょっとした豆知識としてご紹介しますと、「正字」は最も正式とされる字、「新字」は戦後新しく簡略された字、「旧字」は公的ではないが名前や固有名詞に残って使われている字、例えば「国」と「國」などが当てはまります。

私も卒業アルバムの仕事に携わり始めてから知ったのですが、苗字の漢字も似たようで違う、たくさんの種類の字体が存在しているようで、オーダー制作で個人ページの制作をご依頼いただいた際に、お客様に何度も漢字の認識違いがないか、確認をお願いすることもしばしば。

今回は、そんな「苗字の字体」について少しご紹介と、卒業アルバムでお名前を掲載希望の際の、制作会社への指示の仕方についてご紹介させていただきます。

 

■全国の苗字ランキングでも上位!〇〇さんは漢字が100種類以上!

まずご紹介するのは、全国の苗字ランキングでも上位に入る「わたなべ」さんの漢字。
「渡辺さん・渡部さん・渡邊さん・渡邉さん」という漢字が一般的かと思いますが、この「なべ」という漢字は、「現在使われていない漢字も含めると、なんと100種類以上もあるといわれているそうです。

例えば「邊・邉」の場合下記のような組み合わせで多くの字体の種類が存在します。
・1点しんにょうなのか2点しんにょうなのか
・右のつくりが「自」か「白」
・「自」の下が「宀」か「冖」
・「冖」の場合、「自」と付いているのか離れているのか
・「穴」の下が「口」か「方」

これだけの組み合わせがあると、はたして自分の身近にいる「わたなべ」さんの漢字が自分の認識している漢字であっているのか自信がなくなってきてしまいますね…。

実際、あまり見かけない漢字が使われている苗字の方の中には初対面の方やお電話で漢字を伝えることに苦労しているという方も多くいるようです。

 

 

■知人の「しまだ」さんのお悩み

「しまだ」さんと自己紹介をされたら、「島田」や「嶋田」という漢字を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

私の知人に、異体字で「嶌田(しまだ)」と書く方がいます。
私はその漢字を初めて見た時、山かんむりが王様みたいでかっこいい字だなと思っていたのですが、本人いわく1回目でスッと読んでもらえることは稀で苦労することも多いそう。

例えば、パソコンが授業に導入され始めた頃は自分の漢字がなかなか出ず、先生がパソコンの辞書機能から引っ張ってきて登録して初めて「嶌田」の漢字が出てくるという、手間のかかる切ない思い出もあったり…。
また、電話で自分の名前の字を伝えるときには、「“鳥”の上に“山”です」とか「“山かんむり”です」と伝えても、「嶋(しま)」や「蔦(つた)」で書類が届いたりと四苦八苦しているそうで、お店の予約表など、漢字でなくてもいいときはカタカナで記名することも多いのだとか。

口頭でいくら適切な説明ができたとしても、伝えた方がその漢字のことを知らないと、正確な文字が出てこないという、なかなかもどかしいお悩みです…。

冒頭でも少し触れましたが、実は、卒業アルバムを制作していると珍しいお名前に出会う頻度も高く、先生方から「この漢字で作れますか?」とご相談いただくこともしばしばあります。

■卒業アルバムを作る際に正しい漢字を伝えるために

嶌田さんが電話で自分の漢字をうまく伝えられなかったように、私たちもお客様から漢字のご指示を口頭でいただいても、「それじゃない!」と認識の相違で修正となることもよくあります。
そこで、弊社では正しい漢字をきちんとデータに反映できるよう、以下のようなご指示をみなさまにお願いしています。
卒業アルバム以外でも、お名前の漢字を伝える場面は多くあるかと思いますので、ぜひご参考ください。

1.漢字を大きくはっきり用紙に書き、写真をメールもしくはFAXで送付
2.芸能人や地名等、インターネットで調べたらでてくる漢字で指示
3.「〇〇(単語)」で変換したら出てくる、「上が〇〇」になっている漢字

一番間違いがない方法は1番の用紙に書いてご指示いただく方法ですが、手元に紙がなく、すぐに修正をして欲しい場合などには2番の方法でもほぼ間違いなくご対応が可能かと思います。
また、3番の場合は、パソコンですぐに変換できない単語はうまく伝えられない可能性があります。
漢字の特徴をしっかり伝える必要がありますので、データが完成してからしっかりと確認が必要です。

ちなみに、弊社では個人ページをオーダー制作でご注文いただいた際に、デザインデータを送付時に、必ず「間違いやすい文字」という資料を一緒に添付しています。
こちらの資料には、基本の漢字の他に、「高」と「髙」や、「辺」と「邊」、「孝」と「考」など、今までの経験も踏まえてみなさんが間違いやすい漢字を掲載しており、文字校正時にご活用いただくことで、印刷後に漢字の間違いが見つかることのないように相互に努めております。

他の制作会社様でもそれぞれ独自に注意していること、お客様にお願いしていることがあるかもしれませんので、制作前に一度確認してみることをおススメします。

■最後に

毎年数件、卒業生のお名前がパソコンで変換できず、お困りの先生方からお問い合わせをいただきます。弊社の場合は、オーダー制作であればどのような漢字でも作字が可能ですので、お気軽にご相談くださいませ。

アルバムに載る名前は生徒様にとっても保護者様、同窓生のみなさまにとっても、とても大事な文字です。
絶対に間違うことなく、一生の思い出となる卒業アルバムを仕上げることができるよう、制作会社と学校様とで相互にしっかり確認を行い、印刷を進めましょう。

 

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